研究概要 |
プロトプラストからの植物体再生条件が確立しているカキ′次郎′を用い、葉原基由来のカルスから既報に準じてプロトプラストを単離した。導入プラミスドはpBI221およびpBI121を用いた。これらプラミスドにはマーカー遺伝子としてのGUS遺伝子(pBI221,pBI121)あるいはカナマイシン耐性遺伝子(pBI121)が配されている。 エレクトロポレーションの際、プロトプラストを10x10^5protoplasts/mlの密度で0.7Mマンニトール+1mM塩化カルシウム溶液に懸濁し、25μg/mlの濃度でDNAを混合した。続いてCapacitance125μF,500V/cmの減衰波パルスを1回かけた。この時のtime constantは約20msecであった。約20分間静置後、プロトプラストを回収して、改変KM8p培地によるアガロースビーズ培養を行った。 エレクトロポレーション処理を行った細胞の生育はかなり劣っていたため、活発に分裂している無処理の′次郎′プロトプラストのアガロースプレート1片を一緒に液体培地に入れることで分裂を促進することが可能であった。約4カ月後いくつかのカルスが得られたため、一部をGUSアッセイに供した。いずれのカルスにおいてもGUS遺伝子の発現は認められなかった。 本年度は形質転換カルスの獲得には至らなかったが、今後、遺伝子導入効率の点から改良を加え、エレクトロポレーションによるカキの形質転換体作出を目指す予定である。
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