1.温度、浸透圧変化により誘導される遺伝子の検索と単離。 Daphnia magnaの生存可能な限界塩濃度と限界温度を調べたところ、それぞれ70mM NaCl存在下と30℃での増殖が確認できた。 そこで、70mM NaCl存在下及び30℃で飼育したD.magnaと23℃、0mM NaCl条件下で飼育したD.magnaから全RNAを調製した。この全RNAを用いてdifferential display法により高温条件及び高塩濃度条件で発現の増加する遺伝子の検索と単離を行った。その結果、高温及び高塩濃度条件下で発現量の増加する3種類の遺伝子のcDNAの一部をクローン化した。クローン化したcDNAの塩基配列の決定し相同遺伝子の検索を行った結果、高温条件下で発現量の増加する遺伝子のcDNAの1つがribosomal protein S24遺伝子(rpS24)高い相同性を示した。更に遺伝子の発現が転写レベルで2倍の増加が認められた。現在、高温ストレスとrpS24の発現の増加について解析を行っている。 その他のcDNAについても塩基配列の決定と解析を進行中である。 2.ヘモグロビン遺伝子の酸素による発現制御機構の解析。 D.magnaは溶存酸素量の低下に適応するために、ヘモグロビンの発現量が増加することが明かとなっている。そこで、転写の発現制御を解析するために、ヘモグロビン遺伝子のcDNAをクローニングし、塩基配列を決定した。 現在、northern blotによる転写量の解析とsouthern blotによる遺伝子重複についての解析を進行中である。
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