本年度予定した実験計画はすべて完了し、以下の成果を得た。 1.細胞の分化誘導処理 ヒト白血病細胞株KU812ならびにそのサブクローン株同-F、同-Eについて、ヒスタミン含有量を調べた。その結果、KU812<同-F<同-Eの順であった。次に、サイトカイン類他を添加した数種の培地が細胞分化にもたらす影響を調べた。その結果、細胞の生存を妨害せず、単位細胞数あたりのヒスタミン含有量を増大させたのは、IL-3添加培地のみであった。 2.高親和性IgE受容体架橋による細胞外物質変化の検出 KU812系細胞、及び同細胞をIL-3処理したものを抗原抗体刺激し、それにより細胞応答が見られるかどうか検討した。その結果、どの細胞においても、細胞外へのメディエーターの放出は、検出されなかった。 3.高親和性IgE受容体架橋による細胞内物質変化の検出 KU812系細胞を抗原抗体刺激した場合の細胞内タンパク質のリン酸化について検討した。その結果、抗原抗体刺激によって、特定のタンパク質のリン酸化がもたらされていることが判明した。 この知見をもとに、アレルギー患者のアレルゲンスクリーニング法開発に関する基礎的研究を計画している。
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