研究概要 |
本研究は,農作業における作業対象となる物体の形状認識を目的とし,特に,その方法として,人間が認識を行う場合の行動パターンあるいは認識のための情報処理機構を擬似的に真似た全く新しい視覚機能を構築することを試みたものである.その中でも特に,パターン情報を用いた認識技術を確立させることが本研究のテーマである.この研究は,機械の目(マシンビジョン)における視覚機構を構成することであり,機械の知能化における支援システムとしての情報計測システムとして構築することを目指したものである.具体的には機械が植物体の形状を認識する方法として,極座標系に配置した画素を基本とした画像情報をもとに形状情報を単純化するアルゴリズムを組み立て,認識技術を確立させることである. ここでは,まず,画像認識システムの構築を行った.本研究ではは極座標系画像入力装置のものが必要となるが,この型は存在しなく,また,ハードウェアとして1つ1つが形が異なる画素デバイスをつくることは非常に困難であったため,面積配分を用いた画素変換を行い,直行座標系から極座標系へと変換した.このときに問題となる等間隔配列あるいは等面積配列,さらに,半径方向と円周方向の画素数の比を様々に変化させ,単純形態パターンとしてHを例にその認識におけるロバスト性について評価した.その結果,最適な組合せの値が存在することを確認した.しかし,その値は形状特性に依存するとともに形態情報としての獲得情報の種類にも左右されるため,一意的に決まらなく,この方法による認識は非常に困難となる結果となった.そこで,より人間が行っている視覚による認識機能をマシンビジョンに取り入れるため,3次元の網膜像とニューラルネットワークを組み合わせた形状認識機構の構築について検討したところ,ニューロに対する依存性が高くなるが,認識の可能性が高いことを確認することができた.
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