活性汚泥法は畜産分野においても廃水処理に広く利用されている。この方法においてしばしば沈殿槽においてバルキングが観察され長期間安定的に廃水処理を行うことが困難となる場合がある。このような問題を解決するためには活性汚泥の沈降性を保つことが極めて重要となるが、研究代表者はすでに廃水中の懸濁物資を効率的に凝集する細菌(LE-3株)を分離してきた。本研究ではこの細菌の廃水処理への適用を考え、この細菌の懸濁物質凝集機構について検討した。 LE-3株は菌体外に分子量約20kDaの非常に疎水性の高いタンパク性物質を産生しており、この物質が懸濁物質と非特異的に吸着し、沈降させるものと考えられた。この物質の産生機構を明らかにする目的で、種々の条件で培養を行ったところ、生育上限温度である45℃で数回継代することによって、タンパク性物質の産生能は失われた。さらにLE-3株および欠損株からプラスミドDNAを抽出したところ、後者の株では数個のプラスミドDNAが欠落していたのでこれらのDNAが凝集性タンパク質の合成に関与しているものと考えられた。現在エレクトロポレーション法による遺伝子の導入および発現を試みDNAの同定を試みているところである。
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