カエル骨格筋スキンドファイバーを用い以下の実験を行った。 1.バナジン酸による収縮抑制効果のMg^<2+>感受性の由来を調べ、アクトミオシン収縮のどの生化学的過程が、Mg^<2+>によって修飾されているかを追求した。 まず初めに、Mg^<2+>濃度の異なるいくつかの収縮系(過剰MgADPによる収縮、低MgATPによる収縮)で、バナジン酸の張力抑制を調べたところ、いずれの系でも低Mg^<2+>では抑制がおこらないことが確かめられた。次に、この低Mg^<2+>による脱抑制が、(1)バナジン酸重合体の形成(2)バナジン酸-ミオシン複合体の不安定化、(3)バナジン酸とミオシンの親和性の減少、のいずれによるかを調べたところ、(1)と(2)が否定され、したがって(3)であることがわかった。すなわちリン酸放出直後のアクトミオシンがMg^<2+>を感じていることが考えられる。 2.筋タンパク中の主要な二価イオン結合部位であるトロポニンCとミオシン軽鎖2をCDTA処理の方法で除去してもこのMg^<2+>感受性は残ったので、Mg^<2+>を感じているのは別の部位であることがわかった。
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