マウスMAdCAM-1のゲノムフラグメントのシークエンシングを行い、その結果を既に報告されているMAdCAM-1 cDNAの塩基配列と照合したところ、われわれが単離したゲノムフラグメント内にはすべてのコーディング領域が含まれており、MAdCAM-1遺伝子は五つのエクソンから成ることが明らかとなった。MAdCAM-1分子は三つの免疫グロブリン様ドメインと、N型糖鎖に豊富に修飾を受ける領域を有することがわかっている。今回の解析の結果、N末端の2個の免疫グロブリン様ドメインはそれぞれ独立したエクソンに存在するが、3番目のIgAlに相同性が高いドメインとN型糖鎖修飾領域は同一エクソン上に存在し、遺伝子発生の上で密接な関係にあることが示唆された。 次にこのフラグメント内において、5′RACE法により転写開始位置の決定を行い、そのさらに5′上流領域にシークエンシングを進めた。MAdCAM-1プロモーター領域には、-30bpの位置にTATA結合配列が存在し、その上流には2カ所のNF-kB結合配列の他、AP-2、Ets-1、NF-IL6など複数の転写因子結合配列が存在した。今後さらにこの領域のプロモロタ-活性の検討を行っていく予定である。 MAdCAM-1ゲノムフラグメントを用いたin situ hybridization法およびマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析により、MAdCAM-1遺伝子はマウス10番染色体長腕に存在することが明らかとなった。またこの過程で、MAdCAM-1遺伝子第4イントロン内にマイクロサテライト配列が存在し、この付近の遺伝子マーカーとして利用できることが明らかとなった。
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