IL-4は造血幹細胞に対して多彩な作用を有し、特に分化作用、増殖抑制作用は白血病に対する治療として注目されている。このIL-4は慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)の慢性期の細胞に対しては、IL-6のオートクライン作用を抑制し、増殖を抑える事が報告されていたが、急性転化時に於ける検討および、その作用機序については知られていない。今回、私はCMMoLの慢性期から急性転化期まで経過を追う事の出来た症例群の白血病細胞を用いて、IL-4の作用および、その機序について検討した。CMMoL患者の慢性期の細胞では全例IL-6のオートクライン機構による増殖を認め、IL-4はこの機構を抑制する事により、増殖を抑制した。急性期の細胞でも、IL-6を多量に産生し増殖する事より、急性転化期の細胞においても、IL-6によるオートクライン機構が存在することが明らかとなった。一方、IL-4の作用は慢性期のそれとは全く異なっていた。IL-4は濃度依存性に急性転化時のCMMoL細胞の増殖を全例促進した。CMMoL細胞のIL-6産生は慢性期と同様に抑制されることより、他のサイトカインがIL-4刺激により産生され、増殖が促進されている可能性が考えられた。IL-4刺激時に形成されるコロニーの細胞の形態が解析すると、大部分が単球系の細胞により形成されていた。そこで、単球系細胞の増殖を促進するとされているサイトカイン、IL-1、GM-CSF、M-CSF、TNFに対する抗体を急性転化時のIL-4刺激時のCMMoL細胞に添加し、その効果をみたが、細胞増殖はこれらの抗体添加では、全く抑制されなかった。これらの結果より、IL-4は他の因子を介するのではなく、直接急性転化時のCMMoL細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。このことにより、IL-4のCMMoL対する臨床応用は、特に、急性転化期については、慎重になるべきと考えられる。
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