鶏胚肢芽間充織では、軟骨形成予定域にまず間葉細胞の凝集が認められ、続いて同域の間葉細胞が軟骨へ細胞分化し、軟骨が形成される。versicanとPNA陽性タンパクの局在パターンをin vivo鶏胚肢芽において検討した結果、versicanが軟骨形成の開始に密接な関連をもつ可能性が示唆され、本報告書別項に記載した学術雑誌に論文報告した。そこで、本研究では、まず、マイクロマス培養法を用いてin vitroで軟骨形成を生じさせ、共焦点レーザー顕微鏡と落射型螢光顕微鏡を併用し、versicanおよびPNA結合性タンパクの経時的局在パターンの変化を詳細に解析した。その結果、versicanは、alcian blue染色性の出現に先だって間葉細胞凝集部に一致して出現することが、明らかになった。また、軟骨形成の進行にともなって、versicanは、培養下軟骨noduleの周辺部に局在するようになり、PNA陽性の糖鎖とは対照的な局在パターンを示した。このことは、in vivoで得られた結果を支持するものであり、versicanが、鶏胚肢芽における細胞凝集および軟骨細胞への分化に関与していると考えられた。次に、PNAおよび抗versican抗体による染色性が陽性になる前後の発生ステージ21、25、30の肢芽を用い、lectin blotおよびWestern blot解析を行った。その結果、PNA lectin blotでは、いずれのステージにおいても20数本のバンドが検出され、軟骨形成に関与しているPNA陽性タンパクを特定することはできなかった。また、Western blotでは、抗versican抗体によってバンドを検出することができなかった。このことは、versicanの分子量が非常に大きいためで、現在電気泳動の条件を変えるなどしてWestern blotを継続中である。
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