研究概要 |
(1)3-オキソ胆汁酸の標品の合成 新規胆汁酸である3-オキソ不飽和胆汁酸7α,hydroxy-3-oxo-4-cholen-24-oic acid(CA-△^4-3-one)及び7α,12β-dihydroxy-3-oxo-4-cholen-24-oic acid(CDCA-△^4-3-one)の量論的研究を進めるため、コール酸(CA)及びケノデオキシコール酸(CDCA)もメチルエステルを原料として標品の合成を行った。 (2)3-オキソ不飽和胆汁酸の同定 胎児-新生児期の体液中及び先天性代謝異常の患者の体液中の3-オキソ不飽和胆汁酸についてGC/MSによる化学構造の推定と合成標品による構造解析を行った。 (3)3-オキソ不飽和胆汁酸及び胎児生胆汁酸のGC/MSによる定量法の確立 胆汁酸常成分であるCA、CDCA、デオキシコール酸(DCA)、リトコール酸(LCA)、及びそれらの1β-、2β-、4β-、6α、19-水酸化胆汁酸などの胎児性胆汁酸及び合成した3-オキソ胆汁酸のマススペクトルとGC/MSによる分離条件を検討し、Selected Ion Monitoring法による微量定量法を確立した。 (4)GC/MSによる胎児-新生児期の3-オキソ不飽和胆汁酸の体内動態及び先天性代謝異常の病態解析 健常児の場合、3-オキソ-4-不飽和胆汁酸は出生直後において、尿中に多い場合で総胆汁酸の数十%に及ぶこともあるが、通常生後1ヵ月には数%以下に減少し、その後、ほとんど検出されなくなることがわかった。これに比し、3-oxo-△^4-steroid5β-reductase欠損症類似の小児胆汁うっ滞症では、生後1〜2ヵ月後においても尿中胆汁酸の50%以上に及んだ。さらに羊水、妊婦尿、新生児尿、血液及び胆汁中等の胆汁酸分析を行い、本疾患についての検討が必要であると考えられる。
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