研究概要 |
80年代日本社会で大問題となった脳死・臓器移植問題を素材として,国際生命倫理の視点から分析と提言を行ない,学術論文として発表した。とりわけ,脳死論にかかわる「文化的要因論」のあいまいさを指摘し,比較文化論的生命倫理のアプローチに関しては.日本社会の世代的・階層的・ジェンダー的多様性を認識することが必要だと結論付けた。そのうえで.東アジア世界の近代化という歴史観の上に.日本の生命倫理受容をプロットしていくことの重要性が認識された。これに加えて.日本におけるフェミニズム生命倫理の形成と,その国際関係上の意義についても研究を進め.論文を発表した。国際生命倫理学の実質について着実な進展があったと思う。
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