研究課題/領域番号 |
07858005
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渡部 かなえ 信州大学, 教育学部, 講師 (50262358)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 運動ニューロンプール / H反射 / 表面筋電図 / 急速随意運動 / 遠隔筋 |
研究概要 |
本研究は、頭部の急速随意回転運動の実行が、活動および安静状態にある遠隔筋(下肢筋:ヒラメ筋)運動ニューロンプールの興奮性と、それによる筋活動の変化に及ぼす影響を検討することを目的として行った。安静状態での観察はH反射法を用いて行った。活動状態での観察はH反射法と表面筋電図加算平均法を併用して行った。表面筋電図加算平均法の実施には背景筋活動が必要である。従って、安静と活動状態にある筋の運動ニューロンプールの興奮性の観察を比較するためにH反射法を用いた。また活動状態での観察に表面筋電図加算平均法を併用したのは、先に行った上肢での観察結果と比較検討するためであった。被験者は健康な成人5名であった。 実験の結果、遠隔筋が安静状態でも活動状態でも、H波には全被験者で頭部回転運動の主動筋(胸鎖乳突筋:SCM)の筋電図活動開始とほぼ同時か直後に促通が観察された。変化発現のタイミングと方向から、随意筋収縮による腱反射・H反射の増強現象であるJendrassik効果の発現であると考えられる。 表面筋電図では、主動筋筋電図活動の開始後に促通または抑制が観察された。この筋電図変化は被験者間には共通性はなかったが、同一被験者では再現性があった。この固有性と再現性は上肢筋活動でも観察された。よって頭部随意運動の運動プログラムの実行が、遠隔筋である下肢筋運動ニューロンプールの興奮性と筋活動の変化にも影響を及ぼしている。そしてその変化は各人に固有のパターンが形成されていると考察された。 しかし複数の被験者で、H波と表面筋電図に現れた変化の方向が一致していなかった。H波で促通が観察されたのとほぼ同じタイミングで、表面筋電図には抑制が観察された。これまで、運動ニューロンプールの興奮性の変化はダイレクトに同じ変化として筋活動に現れる構造になっていると考えられてきた。しかし本研究結果から、シナプス前抑制のような現象を発現しうる仕組みが存在する可能性があると思われる。この問題については、今後さらに実験を重ね検証して行きたいと考えている。
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