平成7年度に行った主な作業・知見を列挙すると以下のとおりである。 1.購入したスキャナと汎用CADソフト(AutoCAD)を用いて、既存のヒマラヤ地域の地図から基図を作成した。経緯度座標をもつCAD図面である。 2.汎用データベースソフト(MS-Access)を使ってヒマラヤ地域の農・牧事例データベースを試作した。農-畜の結合関係に関わると考えられる約50のデータ項目を抽出してデータ構造を決定したうえで、手元の文献資料に基づいて事例データを入力した。 3.CAD図面と外部データベースとの結合を実現するデータ拡張機能(AutoCAD ADI)とそれを利用した空間分析ソフト(Spatial Analyst)を用いて、空間データ(CAD図面)と属性データ(農・牧事例データ)を結合させた。これにより、基図の上に落とした事例データのSQL検索等が可能となった。 4.以上の作業過程で当初の目論見より手間取ったため、入力済みの事例数がまだ30ほどに留まっている。そのため、研究目標の一つである様々な農・牧文化要素に関する分布図の出力については、現時点ではまだ粗略なものに留まっている。しかし、試行出力結果からみて、今後予定通りの数へと事例データを増やすことで、相当充実した結果が得られる見通しである。なお、現環境下では空間解析機能が弱いことが判明したが、将来的には統計処理ソフトとの結合によってこれを補う予定である。 5.以上がこれまでの作業状況であり、現在は、データ入力を継続しつつ、データベース構造や抽出した諸類型の妥当性の評価という最終的な作業にとりかかり始めている。
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