研究概要 |
本研究における主な成果は以下の通りである。 1.モデル化の方法に自由度を認めうる対象世界モデル表現手法の開発 対象分野(高校化学)において必要となる対象世界モデル表現の枠組みのバリエーションを、市販教科書等に対する事例研究から整理した。その結果、高校化学における世界モデルは、基本モデルと3種類の拡張モデルという4種類の枠組みでほぼ網羅的に表現できることが明らかになった。この知見より、モデル表現の枠組みを必要に応じて切り替えつつ問題解決を行う手法を開発し、試作システムを実装した(論文[3])。 2.学習者の独創的能力を養う教育支援方法の設計 学習者の独創的能力の養成のためには、学習者が自由に環境を捉える枠組みを設定し、その枠組みの中で実験、問題解決などを通じた発見的学習を行いうる教育環境を設計する必要がある。このような目的には対話型学習環境(Interactive Learning Environment=ILE)が適していると考えられるが、従来のILEでは学習者モデルを構築する能力が弱いために、学習者の行う作業や問題解決を支援することが難しい。そこでILEにおいて、学習者の行動をモニタリングし、そこから学習者の行動プランや化学の知識に対する理解度のモデルを構築する手法を開発し、試作システムを実装した(論文[2,5,6])。 3.他教科における検討 学習者の独創性の養成を考える上では、より解答の任意性の高い教科についても検討する必要がある。そのような教科の一例として初等プログラミングを取り上げた。本研究では学習者が作成したプログラムを解析して評価する機構を提案し、試作システムを実装した(論文[1,4])。
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