研究概要 |
本研究では、人工現実感技術を臨床的に用いて、障害児(者)の「新現実感」の成立過程を分析し、それらの「新現実感」成立の促進要因を明らかにするための実証システムを構築することであった。研究への参加対象として、棟方(1992)の研究でコンピュータシミュレーションによる「仮想運動行為」成立が強く見込まれ、かつ、その応用が強く待たれる重度運動障害児を対象とした。運動障害などに対応するために、体の向きや手指の間接の動きをデジタル化してリアルタイムにコンピュータに取り込む、Polhemus社3次元センサFastrak、P&G社のゴニオメータ(A/D変換付14軸分)、音響3次元化装置CrystalRiverEngneering社Acoustetron2,Alphatronと3DライブラリソフトSuperscape社のVRTとSDK、HMDとしてKAISER Electro-Optics社の500-HR-pv、制御は用のGateway社P5-J90でシステムを構成した。運動障害(脳性マヒ)のある9才の男児について継続的にシステムの適用を進めた。今後は、立体の縁線を他の物体が移動するソフトウェアによって心理学では「アクティブ・タッチ」といわれる行為に焦点を当てて、目的とする人工現実感(障害児の「新現実感」)の成立を分析する予定である。
|