インターネット上の海外の英語の母国語話者とコミュニケーションをはかるという点に重点を置いた英作文の授業を行い、そのメリットとデメリットを考察した。 受講生はオーストラリアのクイーンズランド州にあるGriffith大学等と電子メールを用いて文通を行い、電子メールのメッセージを書き送った。それと並行して、九州工業大学工学部キャンパスにWWWサーバーを設置し、学生が文字、静止画、動画を用いて作成した情報をそのサーバーに入れた。相手はこちらのサーバーにアクセスして、こちらのページを読み、コメント等を電子メールで送ってきた。また、学生にネットワークでよく用いる英語の表現を採集させた。世界中のWWWページを見て回り、英文を書く上で役にたちそうな表現を集め、分類させた。 メリットとしては、まず、「海外の学生と友達になれる」という声に代表されるように、国境を越えて、一対一の関係を持つことができるということである。これまで、文法、読解といった抽象的なレベルでの英語の運用が、対人的な、具体的な運用となった。次にWWWページの作成であるが、自己紹介、大学紹介、大学祭の紹介記事等を通して、自ら英語で情報を発信するという、受け身ではない英語の学習ができた。英語の表現の採集に関しては、自分の思うままに英文を書いていただけの時に比較し、言葉使いに対して注意を払うようになった。英文を読む訓練にもなった。 デメリットとしては、文通の相手の確保が非常に困難であった、ソフトウェアの取り扱いが難しかった、学生のネットワークへのアクセス権など、制度的な制約があった等がある。文通の相手の確保等、なんらかの機関を通じて行うことの可能性を検討すべきではなかろうか。ソフトウェアの取り扱いであるが、特に動画をWWWページに掲載する。もっと簡単に使える電子メールのソフトをインストールするなどが今後の課題である。
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