研究概要 |
ビタミンD代謝の鍵酵素は,25(OH)D_3や1α,25(OH)_2D_3の24位の水酸化を触媒し不活性化に導く24-水酸化酵素であり,これまでに,この24-水酸化酵素のcDNA(遺伝子:CYP24)はラット・ヒト・マウスからクローニングされている。ところが,モルモットでは25(OH)D_3の23位の水酸化が見いだされており,この23-水酸化活性もラットの24-水酸化活性と同様に1α,25(OH)_2D_3により著しく誘導される。本研究では、2つの酵素は単一の遺伝子から分岐し異なる水酸化活性を獲得した可能性を考え,モルモットからCYP24遺伝子のcDNAクローニングを行い,その水酸化活性について検討した。 腹腔内に1μgの1α,25(OH)_2D_3を3日間連続投与した雄性モルモット腎臓のcDNAライブラリー(8.0X10^5クローン)を作製し,ラット24-水酸化酵素cDNAをプローブに用いて,プラークスクリーニング行った。得られた3個の陽性クローンの塩基配列を決定した。得られたcDNAの全長は2956bpで,514個のアミノ酸をコードしていた。このcDNAを用いてRNAblot解析を行った結果,mRNAは約3.2kbであり,1α,25(OH)_2D_3を投与したモルモット腎臓ではこのmRNAが顕著に誘導されていることが判明した。このcDNAのコードするタンパク質の酵素活性を調べるために,cDNAをpSVL発現ベクターに組み込み,COS細胞内で一過性に発現させた。そのミトコンドリア画分をコール酸で可溶化し、P450再構成系を用いて25(OH)D_3に対する酵素活性を調べた。生成物をHPLCで分析した結果、ラットとは異なり23位に水酸化された23,25(OH)_2D_3が検出された。モルモットのCYP24遺伝子産物は,ラット・ヒト・マウスの24-水酸化酵素とアミノ酸配列間で高い相同性(80%)を持つが,ラットなどと異なり23位の水酸化活性を持つことが明らかとなった。
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