研究課題/領域番号 |
07F07050
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮坂 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授
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研究分担者 |
MALLICK Arabinda 大阪大学, 基礎工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | フェムト秒分光 / 分子内水素結合 / 電子移動 / 陽子移動 / 単一分子計測 / ノルハメン / 光増感反応 / 時間分解分光 / 励起水素結合体 |
研究概要 |
ノルハメン誘導体は、がん細胞の光治療に対する有効な光増感剤として知られている。本研究では、これらの機構解明を目指して、ピコ秒時間分解過渡吸収分光や蛍光分光を用いてノルハメン電子励起状態とアミノ酸残基のモデル化合物との水素結合性媒体との間の相互作用、光化学反応を種々の媒体中で測定した。定常吸収スペクトル、定常蛍光スペクトルの測定から、基底状態での水素結合体生成とこの水素結合体を励起した場合、蛍光の消光が確認された。またピコ秒、フェムト秒過渡吸収スペクトル、また、単一光子係数法による蛍光寿命の測定により、フェノールやシアノフェノールのような消光剤を用いた場合に生成する水素結合体の励起状態では、一般的なπ電子系水素結合体の挙動とは異なり、効率のよい電子移動は進行しないことが明らかになった。また新たな中間種も明確には観測されず、水素結合を通して分子内の陽子の再配置が起こり、基底状態とのエネルギーギャップが小さくなりフランクコンドン因子が増大することによって、励起状態が無輻射的に基底状態に失活することが示唆された。更に陽子供与性の消光剤とも特に効果的な光反応は進行しなかった。すなわち、ノルハメンの電子励起状態では陽子受容性および供与性の消光剤いずれとも、特に明確な光反応は示さず、単純に基底状態への失活が進行するだけとの結果が得られた。これらのことから、タンパク質アミノ酸残基ではなくむしろDNAとの特別な相互作用を考慮する必要性、あるいは光治療に対する光増感のメカニズムとしては、励起状態から基底状態に失活した直後の陽子互変異性体生成などが、大きな役割を果たしていることが示唆された。
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