研究課題
特別研究員奨励費
今年度も昨年度に引き続き、分子スピン系、特に電子・核スピン二重共鳴(ENDOR)のサンプル中のスピン系におけるエンタングルメント、及び非古典的相関に関する研究を行った。これらについては個々に以下で概説する。また、我々が考案したデコヒーレンスのモデルについて、Motional Narrowingとの関連をより詳細に論じた[論文5]。(i)現実的な量子情報処理を分子スピン系で行うには、純度の高い初期状態や大きな度合いのエンタングルメントを要求しない設計が肝要である。そのような設計に役立てるため、量子情報処理の過程でデコヒーレンスがある場合、エンタングルメントの量と非古典相関の量が、どのように時間発展するのか調べてきた。量子超高密度符号においては、エンタングルメントが存在しない温度下でも適当な条件の下で正しい復号が可能であるが、符号化・復号化の過程で非古典相関の変動が顕著に見られることを明らかにした[発表3,6]。これは非古典的相関が量子資源となっていることを示唆している。(ii)また、ENDORなどの分子スピンアンサンブル系での実験的な非古典的相関の検出を簡素化するために、非古典的相関のウィットネスと呼ばれる観測演算子を定義し、それを各スピンの偏極率演算子と非局所的なユニタリー変換に分解する手法を提示した[発表4,7及びプレプリントarXiv:0911.3460(quant-ph)]。これらの成果は量子情報処理の実装に資するものであり、とりわけ分子スピン系のバルクアンサンブル系としての特性を活用することを可能としている。
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in "Molecular Realizations of Quantum Computing 2007"(Kinki University Series on Quantum Computing Vol.2), edited by M.Nakahara, Y.Ota, R.Rahimi, Y.Kondo, and M.Tada-Umezaki 2
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ページ: 223-242
Physical Review A 79
Iranian Physical Journal (In press)
Physical Review A 77
ページ: 0521011-9
International Journal of Quantum Information (印刷中)(In press)
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http://alice.math.kindai.ac.jp/~rahimi/
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