研究概要 |
高活性な可視光応答型光触媒の開発をめざして、硫化物の新規合成を精力的に推進した。大量の合成が可能な,大気中でのチオシアン酸亜鉛の熱分解という新しい方法を用いて,階層状で細孔を調節できる様々な形態(マクロ球状型,タンポポ型,ナノチューブ型など)を有する硫化亜鉛(ZnS)を発見し,それらの特性について,最新の表面分析手法を駆使して調べた結果,窒素と炭素をZnS中に取り込んだ触媒が生成しており,可視光応答型になることを見いだすと共に、生成機構も解明しアメリカ化学会の雑誌に公表した。ZnSそのものは,紫外光(約400nm以下の光)しか吸収しない。しかし,太陽光には紫外光はわずか数%しか含まれていないので,このままでは,効率が悪いので,可視光(波長が約400nm以上の目に見える光)化することが求められている。発見した光触媒は,可視光下で高い有機物分解活性を示すと共に,助触媒を併用することなく可視光照射下で水から水素を発生させる高い活性があることを明らかにした。同様な手法を拡張して、ミネラルを活用した、形態を制御できる硫化カドミウムの大量合成に成功し、水から水素を生成できる高い活性があることを明らかにすると共に、生成機構も解明し、アメリカ化学会の雑誌に公表した。銅は酸化されやすいが、酸化されない状態で銅ナノ粒子を調製する合成法を初めて開発し、国際誌に公表した。 室温でレーザーを用いて作った酸化鉄(いわゆる鉄の赤さび)薄膜をさらに最適の温度で電気炉で焼いたものを使用して太陽電池を作製すると、その性能が著しく向上することを発見し、国際誌に公表した。 本研究で新しく発見・開発した光触媒や金属ナノ粒子の太陽電池や水素発生系の材料としての評価や改良,課題等について引き続き研究を行っており、タンデム型太陽電池の開発に向けて努力を傾注しているところである。
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