研究概要 |
マルコフ過程の変換および遠足(周遊,エクスカーション,excursion)こついて,特にその特異性に着目して研究を行ってきた. (a)ウィーナー測度に対する非適合的測度変換をマリアヴァン解析の手法で研究してきたが,その概要を要約して発表した(Malliavin解析に関する話題).この発表が新しい理論を生む手掛かりとなることが期待される. (b)ベッセル橋および安定周遊に関する滞在時間の分布の滑らかさと漸近挙動について矢野裕子氏と共同で研究し,結果を論文に纏めて投稿した(Statist.Probab.Letters,to appear).ベッセル橋および安定周遊の分布は一般化スチルチェス変換の形で与えられるが,その変換核の特異性をうまく処理しながら分布の滑らかさを示したことは注目に値する結果であると言える. (c)半直線上のマルコフ過程の極限定理を周遊点過程を用いて論じ,退化する場合を含むかなり一般の場合に精密な極限定理得た.その結果を学会等で発表し,また論文投稿した(J.Theoret.Probab.;Bernoulli,to appear).周游点過程を用いて極限定理における標本路の収束の様子を明らかにする試みは極めて新しい接近法であり,かつ結果も著しいと言える. (d)安定レヴィ過程に関する周遊測度について研究し,またその処罰問題への応用について矢野裕子氏およびMarc Yor氏と共同で研究した.現存までの結果を学会等で発表し,論文を準備中である.安定過程の周遊測度は原点死滅過程の調和変換と密接な関係にあるが,これらの中にはブラウン運動や拡散過程にはなかった新しい現象が潜んでいることがわかってきた. (e)Tsirelsonの確率微分方程式から生まれた離散時刻確率方程式について研究した結果を論文発表した(RIMS Kokyuroku;Probab.Theory Rel.Flelds).
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