研究課題/領域番号 |
07J00877
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅野 倫子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 読み / 文処理 / 単語認知 / 校正読み / 誤字検出 / 短時間提示 / プロト文脈 |
研究概要 |
文(文脈)は複数の単語から成り立つため、文脈理解のためには構成単語を処理する必要がある。しかし一方で、経験的にも、先行研究からも、読みの処理の効率化のため、文脈から単語を予測しながら読むことが知られている。文の読みにおける単語と文脈の処理の関係を明らかにすることは、読みのメカニズムを解明する上で重要である。前年度に引き続き、平成20年度は文(例:「今日私は友達と学校に行った。」)を眼球運動が生じないほどの短時間見せ、文の中の1単語が何であったかを選択式で回答させるという実験により、文の読みにおける文脈情報の即時の活性化と単語認知への影響について検討した。実験の結果、文脈に適合する単語(例:「友達」)について回答する際は、不適合な単語(例:「今日私は番組と学校に行った。」の「番組」)について回答する際よりも成績が良いことが示された。すなわち、文の短時間の視覚入力によって即座に文脈情報が活性化し、文脈に合う語の認知が促進されたと考えられる。また、「学校に行った友達/番組と私は今日。」のように、文節順を入れ替え、自然な日本語文として意味を通じなくした文を用いて同様の実験を行った場合でも、同様の結果が得られた。これらの結果より、文中の複数の単語の意味情報の並列処理によって原型的な文脈情報(プロト文脈と名付ける)が活性化され、また、そのプロト文脈と単語の2つのレベルの情報が並列かつ相互作用的に処理されることにより、即時に(原型的ではあるが)文脈情報が活性化し、同時に文脈に適合する単語の処理が促進される、というモデルを提唱した。このモデルは従来モデルに比べて、効率的な読み処理メカニズムを説明可能であるほか、斜め読みをしても文脈が理解できることや、誤字を見落としてしまうという日常的な経験にも合うものである。一連の研究成果はPsychonomic Society、「注意と認知」合宿研究会ほか国内外の学会で精力的に発表した。
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