研究課題/領域番号 |
07J01644
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 早稲田大学 (2008) 広島大学 (2007) |
研究代表者 |
吉竹 晋平 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 荒原生態系 / 一次遷移 / 土壌微生物 / 土壌クラスト / 火山荒原 / 寒地荒原 / 生態系発達 / 土壌有機物 / 呼吸活性 / バイオマス / 群集構造 / リン脂質脂肪酸分析 / 基質制限 |
研究概要 |
本年度は、1.火山噴火後に成立する火山荒原において、一次遷移に伴って土壌微生物のバイオマスや群集構造の変化を明らかにすること、2.高緯度北極氷河後退域に見られる寒地荒原の一次遷移初期において、藻類やコケ、地衣などから成る土壌クラストの光合成特性および生産量と、温暖化がそれらに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 1.富士山南東側斜面の一次遷移系列に沿って土壌を採取し、リン脂質脂肪酸を指標として土壌微生物のバイオマスおよび群集構造を解析した。その結果、微生物バイオマスの指標である全リン脂質脂肪酸量は土壌有機物量と非常に高い正の相関を示したことから、土壌微生物バイオマスの増加には基質である土壌有機物の蓄積が重要である可能性が示唆された。一方、土壌微生物の群集構造の指標であるリン脂質脂肪酸組成は、裸地への先駆植物の侵入する段階や草本から木本へと植生タイプが変化する段階で大きく変化していたことから、リターや土壌有機物の質的な変化が微生物群集構造に影響を及ぼしている可能性が示された。 2.スピッツベルゲン島ニーオルスンの氷河後退域から採取した土壌クラストを用いて、様々研な水分・温度・光条件下での光合成・呼吸速度を測定したところ、土壌クラストの光合成速度は温度上昇に非常に敏感に反応して減少することが明らかとなった。次に上記で求めた関係性からモデルを構築し、実際の野外の気象データから純一次生産量を推定したところ、その値は非常に小さかった。モデルにおいて現在の温度+3℃および+6℃条件での純一次生産量をシミュレーションしたところ、クラストの純一次生産量は温暖化によって激減する可能性が示された。 本年度で得られた成果は、研究例の少ない荒原生態系において生産者(植生)・基質(土壌有機物)・分解者(土壌微生物群集)のそれぞれの変化を相互に関連付けて考える上で非常に重要であると考えられる。
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