研究課題/領域番号 |
07J01838
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 誠 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2009年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 顆粒細胞 / 海馬 / ストレス / 樹状突起 / うつ病 / 妊娠 / ミネラルコルチコイド受容体 / グルココルチコイド受容体 / 歯状回顆粒細胞 / グルココルチコイド / レトロウイルス / 神経新生 / 切片培養 / 性差 |
研究概要 |
海馬歯状回顆粒細胞は、生後に新生し、生涯に渡って増殖・分裂する特殊な神経細胞である。この特殊な神経細胞の生理的機能は、未だ不明な点が多い。本研究は、神経回路形成という観点から、顆粒細胞の機能を解明することを目的としている。昨年までに、主に分裂細胞に感染するレトロウイルスへベクターを用いて、新しく生まれた顆粒細胞を標識することで、胎生期におけるストレスが、生後における顆粒細胞の成熟を阻害することを明らかにした。またその原因因子として、ミネラルコルチコイド受容体の関与を示唆した。 本年は、まずレトロウイルス媒介RNA干渉法を用いて、ミネラルコルチコイド受容体のノックダウンが胎生期ストレスと同様の現象、すなわち顆粒細胞の樹状突起の成熟阻害を惹起することを明らかにした。また、樹状突起の発達時期において、同受容体のリガンドであるコルチコステロンの血中濃度が胎生期ストレスの影響を受けないことを明らかにした。以上の結果は、ミネラルコルチコイド受容体の発現抑制が胎生期ストレスによる顆粒細胞の成熟阻害の原因因子である可能性を強く裏付ける。 さらに、胎生期ストレスが顆粒細胞のシナプス機能に影響を与える可能性を検証する目的でin vivo電気生理学的解析を行った。その結果、胎生期ストレスが顆粒細胞におけるシナプス伝達を抑制することを明らかにした。 以上の結果は、胎生期ストレスの影響が顆粒細胞の機能・形態異常として生涯にわたって残存することを示唆しており、胎生期の環境が顆粒細胞の機能を調節することで成体期における行動や生活に影響を与える可能性が考察できる。胎生期ストレスが様々な精神疾患の発症率を上昇させることや記憶学習能力を低下させることを踏まえると、本研究で得られた結果は、情動機能や学習機能の発現における顆粒細胞の役割を明らかにするための重要な可能性を秘めている。
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