研究課題/領域番号 |
07J02185
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 荘平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 化学進化 / 赤外線 / 高赤方偏移 / 高分散 / 分光 / クェーサー吸収線 / 高分散分光 |
研究概要 |
宇宙論的な距離に存在するクェーサーを背景光として、そのスペクトルに現れる銀河間空間の水素や金属を吸収線(影)として検出することで、宇宙論的なスケールでの銀河間物質の金属量(水素に対するヘリウムよりも重たい元素)、化学組成(元素の間の相対量)の進化("化学進化")の研究が可能であり、低赤方偏移(z<2)では可視光高分散分光によって化学進化の描像が明らかにされつつある。その一方で、高赤方偏移(z>3)の化学進化の描像を解明するには、観測系で赤外線の波長域に赤方偏移した吸収線の観測が必要であり、8メートルクラスの大型望遠鏡によって初めて可能となった。 すばる望遠鏡の近赤外撮像分光器(IRCS)を用いて高赤方偏移クェーサー「APM08279+5255」の赤外線高分散分光観測を行った。その結果z=3.5に一階電離マグネシウムと一階電離鉄の吸収線を検出した。さらに可視光高分散分光で検出されている中性水素や他の金属吸収線と合わせて、モデル化を行い、金属量と化学組成を導出した。生成起源が違うため宇宙論的な化学進化の重要な指標となるマグネシウムと鉄の組成比を高赤方偏移で初めて導出し、銀河系の化学進化と異なる描像が示され、近傍の矮小楕円体銀河の祖先である可能性が示唆された。 さらに化学進化を解明する上で重要だが、亜鉛やマンガンなどの弱い吸収線を観測するために、現状の装置よりも高感度かつ高分散である赤外高分散分光器「WINERED」の開発的研究進めた。赤外線検出器「VIRGO」の実験用電子回路であるマルチプレクサを駆動させて、WINEREDの光学系を用い、可視光波長ではあるがスペクトルの取得に成功した。今後、本番用の赤外線検出器を導入し、実験室での調整後、広島大学のかなた望遠鏡や海外の4m望遠鏡を用いて多数の高赤方偏移クェーサーの観測を行い、高赤方偏移の化学進化の描像を明らかにする。
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