研究課題/領域番号 |
07J02276
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川口 利奈 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | マルハナバチ / 訪花昆虫 / 採餌 / 行動生態学 / 送粉 / 情報利用 |
研究概要 |
これまでの研究で、見知らぬ花にはじめて出会ったマルハナバチなどの送粉者は、同種個体が訪問中の花やそれと同じ種類の花を好んで訪れることがわかっている。このような他個体から得られる情報を利用した採餌は、訪花昆虫が新たに咲きはじめた花種をすばやく見つけるうえで有利にはたらくと考えられる。一方で昆虫に送受粉を頼る植物は、送粉者のあいだで起こる情報利用からどのような影響を受けるだろうか。同じ場所で同じ時期に咲く花種は、しばしば送粉者の獲得をめぐってたがいに競争している。もしその中のある花種が他より一足先に送粉者を獲得していれば、その花種は同種個体に惹かれて集まる送粉者に花を訪れてもらいやすくなるかもしれない。我々は送粉者の先取にこのような効果があるかを大型網室内実験(農業環境技術研究所にて実施)で検証した。まず、白い人工花のパッチを訪れるようマルハナバチを訓練した。次に白い花の蜜の糖濃度を急激に下げ、新たに十分な糖濃度の蜜を含む黄色の花のパッチと紫の花のパッチを1つずつ出現させた。新しい2つのパッチのうち片方にはマルハナバチの死体を置くことで送粉者を先取させておき、白い花を訪れなくなったハチがどちらの花種を訪れるようになるかを調べた。その結果、いずれのパッチにもハチを置かなかった対照実験では、ハチが訪れたのは全ての試行で紫の花だった。紫の花パッチにハチを置いた場合にも、紫の花への訪問が圧倒的に多かった。これに対し、黄色の花パッチにハチを置くと、黄色の花への訪問も紫の花と同程度からそれ以上の頻度で起こるようになった。この結果は、植物にとってライバルとなる花種より先に送粉者を獲得しておくことには、新たな送粉者に訪れてもらいやすくなる効果があり、その効果があることによって、花種間での送粉者の獲得競争の行方は大きく左右され得ることを示唆している。
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