研究課題/領域番号 |
07J02332
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加瀬 諭 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 網膜芽細胞腫 / リンパ球 / 分子シャペロン / 細胞増殖 / αクリスタリン / 血管新生 / アポトーシス / PCNA / マウス酸素誘導網膜症 / VEGF / 熱ショック蛋白 / p27 / cyclin D / cdc2 / erythropoietin |
研究概要 |
増殖糖尿病網膜症(PDR)は線維血管増殖膜形成を伴う網膜剥離により社会的失明につながる重篤な疾患である。本論文ではPDR増殖膜におけるリンパ球浸潤と新生血管および線維化との関連性について検討した。病理組織学的所見上、社会的失明に至った症例の線維血管増殖膜では術後失明に至らなかった症例に比較し、有為にT-リンパ球浸潤が多い事を発見した。また、増殖膜における線維化の程度はリンパ球浸潤の程度と正の相関がみられた。一方、増殖膜の新生血管密度と患者視力予後及び線維化には相関はなかった。従って増殖膜のT-リンパ球浸潤の程度は、PDR患者の硝子体手術後の視力予後や付加的個別化治療の可能性について重要な指標となりうることを示唆した。 Alpha-crystallinは水晶体構成蛋白として発見され、アポトーシス抑制作用を有することが知られている。本研究では、網膜芽細胞腫における分子シャペロン機能を有するalpha-crystallinの発現と腫瘍細胞のアポトーシスを検討した。alpha-crystallinが腫瘍細胞の細胞質に高発現していた。パラフィン包埋標本から抽出した蛋白を用いたWestern blotでは、alphaA-crystallinの発現が確認され、免疫組織化学的検討の結果に矛盾しなかった。 AlphaA-crystallinが高発現している症例では、有意に腫瘍細胞アポトーシスが低値であった(P<0.05)。腫瘍細胞はalphaA-crystallinを高発現することにより、宿主の腫瘍免疫によるアポトーシスの誘導から回避していると考えられる。以上のことから、眼部の代表的な増殖性疾患であるPDR、網膜芽細胞腫では、リンパ球を主体とする宿主の免疫反応が、増殖膜および腫瘍細胞の増殖制御機構、臨床像に密接に関連することが判明した。
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