研究課題/領域番号 |
07J02626
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 哲哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2007年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | サスペンス / 映画 / グリフィス / セネット / ヒッチコック / フィルム・ノワール / スリラー / ブレッソン / リュミエール兄弟 / トム・ガニング / 初期映画 / モンタージュ / 神経 / ノエル・バーチ |
研究概要 |
平成20年度は、前年度から蓄積してきた調査を、改めて定式化し、学知として広く共有すべく学会等で発表することができた。1890年代の初期映画、チェイス・フィルム、グリフィスの初期短編、連続活劇、マック・セネット以来の無声喜劇映画におけるサスペンス形式の通史的な変遷を連続的に辿ることが可能になり、黎明時代において映画の造形が複雑化する過程において果たしたサスペンス形式の役割を、ナラティブの観点、観客の情動の巻き込みの観点、時空間の分節の観点から明らかすることができた。個別的に述べると、初期映画における列車のスペクタクルにおけるフレームの分析、グリフィス作品におけるサスペンスの時間構造の分析、さらにマック・セネット以下のバーレスク映画における俳優の身体の不適応についての、生態心理学的観点における、空間表象分析である。これらはいずれも、従来の説話論偏重のサスペンス論が等閑視してきた論点であるが、それぞれがサスペンスの制作において極めて重要な役割を担うものである。 また、サスペンス形式の通史的分析を完成させるにあたり、トーキー以後から現代に至る時期の研究も大幅に進めることができた。アルフレッド・ヒッチコック、ロベール・ブレッソン、そして70年代以後に特徴的な監視・管理社会下のサスペンス形式、以上の三者については、前年度から分析を進め、すでに学会誌等にその成果の一端を発表しているが、本年度は、サイレント時代におけるアメリカ以外での重要な作り手として、フランスのルイ・フイヤードらの作品群を分析し、また、アメリカで40年代から50年代に作られたフィルム・ノワール作品群の分析を大幅に進めることができた。以上はサスペンス映画史にとってだけでなく、映画史全体を新たな角度から理解するための、極めて刺激的な論点になるだろうと考えている。
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