研究課題/領域番号 |
07J03483
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生体関連化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横井 紀彦 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員DC2
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ベータヘリックス / 熱安定性 / フュージョン蛋白質 / T4ファージ / 人工複合蛋白質 / フラビン / タンパク質修飾 / 部品蛋白質 |
研究概要 |
本研究では、酸化還元分子を、蛋白質複合体を基盤として配列させることで、分子間の電子伝達反応を利用した新規化学反応システム構築を試みた。天然の酵素は複数の補因子の配列により、補因子間の電子移動反応を促進させ、高活性、高効率な化学反応システムを構築している。一方、蛋白質は、分子量数万といった巨大な分子にも関わらず、単一の構造を形成し、アミノ酸化学修飾を利用して人工化合物を蛋白質の望みの位置へ固定することが可能である。従って、複数の人工酸化還元分子を化学修飾で蛋白質表面へ導入し、配列させることで、新規の化学反応システムの構築が期待できる。本研究では、チューブ構造が人工的な分子を一次元的に配列させるのに有用な土台の一つと考え、我々が作成したベータヘリックス蛋白質[(gp5βf)_3]_2の繰り返しチューブ型構造を元にした触媒分子の配列化を試みた。 酸化還元触媒であるフラビンのサクシニミジルエステル誘導体を[(gp5βf)_3]_2へ修飾したところ、そのフラビン集積体は、フラビンの光化学反応をスイッチとするクリック反応を、遊離のフラビンや、ポリリジンへ同様に修飾されたフラビンよりも約11倍速く進行させることを発見した。これは、強固なベータヘリックス構造を鋳型としたフラビンの配列の固定化によってフラビンの反応性を促進させることができたと考えられる。また、[(gp5βf)_3]_2のK41システイン変異体を作成し、そのシステインに対してRe(bpy)(CO)_3Cl錯体を、リシンにはRu(bpy)_3をそれぞれ修飾した。この複合体K41C_Re_<Cys>Ru_<NH>は、錯体の混合溶液と比べ、可視光照射下でのCO生成触媒反応を2.9倍多く進行させ、[(gp5βf)_3]_2が錯体間電子移動反応の鋳型分子として有用と示された。以上のように本研究では、ベータヘリックス構造を基盤とした機能分子の配列が、その分子の機能の制御に繋がる可能性を示すことに成功した。
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