研究課題/領域番号 |
07J03878
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 昌史 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2) (00624496)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | SHP-2 / チロシンリン酸化 / 悪性形質転換 / 細胞内シグナル伝達 / 分子生物学 / 機能獲得型変異 / プロテオミクス解析 |
研究概要 |
SHP-2は、RAS-ERKシグナル伝達経路を正に制御するチロシンホスファターゼであり、その機能的脱制御は種々の癌発症リスクを増大させることが知られている。昨年度、私は、肝癌症例より単離した機能獲得型SHP-2変異(T507K SHP-2)が、NIH3T3細胞に悪性形質転換を誘導することを報告した。本結果は、SHP-2脱制御の細胞癌化過程への密接な関与を示唆するものであり、本年度はSHP-2下流シグナルを生成する基質分子群を網羅的に同定することでSHP-2を介した細胞癌化分子機構の解明を目指した。そこで、私は、基質トラップ変異型SHP-2による免疫沈降法とMS解析を併用することで260種の同変異型SHP-2結合タンパク質の同定に成功し、中でも足場タンパク質としてRAS-ERK経路の活性制御に関与し、チロシンリン酸化修飾が報告されているIQGAP1に着目し解析を進めた。その結果、私はCOS7およびAGS細胞において内因性IQGAP1が基質トラップ変異型SHP-2と特異的に結合し、この両分子間の結合がT507K変異により著しく増強されること、ならびにRNA干渉を用いたSHP-2の発現抑制によりIQGAP1のチロシンリン酸化が亢進することを見出した。以上は、IQGAP1がSHP-2の新規基質分子であることを強く示唆する知見であり、本研究結果を踏まえ、IQGAP1のチロシンリン酸化および脱リン酸化部位の同定、ならびにIQGAP1生物活性発現へのチロシンリン酸化の意義を明らかにすることは、SHP-2によるRAS-ERK経路活性化機構を解明するうえで極めて意義深い。加えて、本研究で得られたMS解析結果は、RAS-ERK経路制御分子に止まらず広範なSHP-2下流標的分子の存在を示唆する知見であることから、癌タンパク質SHP-2の細胞内動態の全容を明らかにするうえで更なる解析が必須である。
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