研究課題/領域番号 |
07J04453
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片山 昇 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD) (30646857)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アリ / アブラムシ / 天敵 / 地理的変異 / 甘露 / 内部壮生細菌 / スクロース / メレジトース / Arsenophonus / マイクロサテライト / 群集 / 共生細菌 / 相利共生 |
研究概要 |
相利共生は状況に応じて変化し、時として解消される。例えば、アリとアブラムシの関係は、アブラムシが甘露を提供するかわりに、アリがアブラムシの天敵を排除するという、良く知られた相利共生の一つであるが、アリ-アブラムシの関係は生態的あるいは進化的に変化しやすく、相利から片利、さらには敵対にいたるまで多様な形態が存在する。このような関係の変異の創出のついて、これまではアブラムシがアリに随伴されることに対するコストと利益を考慮した最適化理論が用いられてきたが、その範疇に収まらない例が多い。したがって、アリ-アブラムシの2者間の相互作用だけではなく、第3者を含めた複数種間の相互作用について解析する必要がある。 本研究では、周囲の天敵の群集構造がアリとアブラムシの共生関係に変異をもたらすかを明らかにするために、アリの随伴に関するアブラムシの種内変異と各地域の天敵群集ついて調べ、以下の結果を得た。 ・マメアブラムシには、排泄する甘露に関して2つの生態型(以下Suc型とMel型)が存在した。 ・Suc型のマメアブラムシより、Mel型のマメアブラムシの方がアリの随伴能力は低かった。 ・マメアブラムシとアリの共生関係が強い場所では、寄生蜂に寄生されたアブラムシの割合が高かった。 ・アリと共生関係をもつマメアブラムシのコロニーでは、大型のテントウムシの個体数が少なかった。 以上の結果を基に、個体群動態モデルをベースとしたシミュレーションを行ったところ、アブラムシの系統間で、寄生蜂に対する防衛能力とアリによるテントウムシ排除効果の間でみられるトレードオフが強い場合に、アリと共生関係をもつアブラムシの系統ともたない系統の入れ替わりが激しくなるという結果を得た。これらの結果は、周囲の天敵群集との相互作用の中で、アリ-アブラムシ相利共生が変化し、地理的変異が生み出させる可能性を示唆するものである。
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