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幸田露伴における近代性確立以前の「知」の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07J04712
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 日本文学
研究機関東京大学

研究代表者

出口 智之  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2007 – 2008
研究課題ステータス 完了 (2008年度)
配分額 *注記
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード幸田露伴 / 歴史小説 / 史実と虚構 / 樋口一葉 / 源頼朝 / 史伝 / 幸田文 / 父と娘 / 明治前の美術概念 / 近代化する社会と人間との軋轢 / 薩摩焼 / 遊び / 笑い / 明治中期の作家たちの交流
研究概要

まず、「幸田露伴の歴史小説-「風流魔」の構想と成立に即して-」(『日本近代文学』平成20年5月)において、形式上の破綻を抱えている幸田露伴「風流魔」(明治31年)の成立過程を追跡し、露伴が本作で行った試行錯誤が、古人を題材に勝手な想像を展開すべきでないという自己規範に起因することを指摘した。
次に、「幸田露伴「椀久物語」論」(『東京大学国文学論集』平成20年5月)で幸田露伴の「椀久物語」(明治32〜33年)を取上げ、上に指摘した露伴の歴史小説の方法的問題が本作にも見出せることを確認した。さらに、この作品のプロットが樋口一葉「うもれ木」(明治25年)の翻案であることを指摘し、孤立した作家と見られがちな露伴が、同時代文学と浅がらぬつながりを持っていたことを明らかにした。
また、鴎外研究会(平成20年12月26日)において発表した「露伴史伝の特徴と方法について-「頼朝」を中心に-」では、これまで古典研究の成果とされてきた露伴の史伝「頼朝」(明治41年)に用いられた資料を特定し、本作が学術性を備えないフィクションであることを明らかにした。また、この作品の随筆に近い様式に、小説形式を捨てた露伴が新しく開拓した文学の可能性を見出した。
さらに、「生活人露伴の誕生-幸田文「終焉」の方法を中心に-」(『相模国文』平成21年3月)では、露伴の死後に娘である幸田文が「終焉」(昭和22年)を初めとする一連の作品を発表するにおよび、日常生活に「格物致知」の精神を発揮したという露伴像が生れたことを指摘した。これは、彼女が露伴の日常生活を題材とし、しかも尊敬すべき父と不詳の子という構図を用いることで、父の偉大さを効果的に演出してみせたことに由来する。この研究により、これまで無批判に受入れられていた「生活人」としての露伴像を相対化し、露伴の<知>のありかたについて客観的に捉えなおすことが可能になった。

報告書

(2件)
  • 2008 実績報告書
  • 2007 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008 2007

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 生活人露伴の誕生-幸田文「終焉」の方法を中心に-2009

    • 著者名/発表者名
      出口智之
    • 雑誌名

      相模国文 第36号

      ページ: 35-46

    • 関連する報告書
      2008 実績報告書
  • [雑誌論文] 幸田露伴の歴史小説-「風流魔」の構想と成立に即して-2008

    • 著者名/発表者名
      出口智之
    • 雑誌名

      日本近代文学 第78集

      ページ: 134-149

    • NAID

      40016048586

    • 関連する報告書
      2008 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幸田露伴「椀久物語」論2008

    • 著者名/発表者名
      出口智之
    • 雑誌名

      東京大学国文学論集 第3号

      ページ: 147-164

    • NAID

      120000867635

    • 関連する報告書
      2008 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幸田露伴の遊びと笑い-根岸党を基点として-2008

    • 著者名/発表者名
      出口 智之
    • 雑誌名

      笑いと創造 5巻

      ページ: 193-214

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [雑誌論文] 樋口一葉「うもれ木」論2007

    • 著者名/発表者名
      出口 智之
    • 雑誌名

      国語と国文学 84巻7号

      ページ: 42-56

    • NAID

      40015708350

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 露伴史伝の方法と特徴について-「頼朝」を中心に-2008

    • 著者名/発表者名
      出口智之
    • 学会等名
      鴎外研究会
    • 発表場所
      大妻女子大学
    • 年月日
      2008-12-26
    • 関連する報告書
      2008 実績報告書

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公開日: 2007-04-01   更新日: 2024-03-26  

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