研究課題/領域番号 |
07J05452
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安井 千香子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2009年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 赤外線天文学 / 初期質量関数 / 星生成 / 銀河系外縁部 / 銀河系最外縁 |
研究概要 |
星が生まれながらに持つ質量の分布、「初期質量関数(IMF)」はどのようなフィールドや星団を観測してもほぼ同じ形を持つことが知られてきた。しかしこれまでは、初期質量関数は太陽近傍と似たような極めて限られた環境下でしか調べられてきていない。そこで私は、星の生成過程でその質量を決めるのに最も効果的な要素である「金属量」(天文では、水素とヘリウム以外の重い元素のこと)が太陽近傍とは大きく異なる環境下での初期質量関数を観測的に調べている。 太陽近傍と金属量が異なる領域として、私は銀河系の最外縁部に着目している。銀河系の最外縁部とは、銀河系の中心から太陽までの2倍以上離れたような領域のことで、金属量が太陽近傍に比べて約1/10と非常に少ないことで知られている。このような遠方の領域であっても、近年の大望遠鏡の集光力と分解能により、詳細に観測することが可能になってきた。その研究の第一歩として、すばる望遠鏡に取り付けられた近赤外線広視野撮像器MOIRCSを用いて、銀河系最外縁部の星生成クラスターのサーベイを行い、銀河系最外縁部に存在する更に約10個のクラスターについて高感度の像を取得し、質量が太陽の10分の1以下に達する暗い星までの検出に成功した。銀河系最外縁部における超低質量星にいたる高感度観測はこれまでには例が無く、このような環境での星生成の詳細は分かっていなかったため、初年度に星生成の基本的な諸量を調べた。その結果、星生成の基本パラメータは、銀河系外縁部でも太陽近傍と同様であることを確認していた。その中で特に、銀河系最外縁部の銀河中心から約20kpcの最外縁部に位置に存在するCloud2-N及びCloud2-Sという独立した2つの星生成クラスターについて、明るさと年齢の関係を用いて光度関数のモデルを作り、各クラスターでの光度関数のフィッティングから、低金属量下での初期質量関数を初めて精密に導出した。その結果、1)そのピークが太陽質量の約0.3倍であること、2)その傾きがこれまでの初期質量関数とほぼ同じであることがわかり、銀河系外縁部のように金属量が大きく変わる環境でも初期質量関数は太陽近傍での普遍的な形の初期質量関数と矛盾が無いことを初めて示唆し、金属量が1/10の環境までIMFの普遍性が保たれていることを示唆した(学会誌Astropysical Journalに投稿中)。
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