研究課題
特別研究員奨励費
本研究計画の主要な仮説は「熱帯林床のリター(枯葉、枯枝)をめぐって、微生物とシロアリとの間に競争関係がある」のではないか、というものである。前年度までに、微生物によるリターの分解量(リターの炭素無機化量=呼吸量による二酸化炭素の放出量)が雨期になると増加することを示してきた。「熱帯林床のリター(枯葉、枯枝)をめぐって、微生物とシロアリとの間に資源獲得競争関係がある」とすれば、微生物によるリター分解量が比較的少ない乾期にシロアリによるリター分解量が多くなることが予想される。そこで、タイ国・サケラートのシロアリによるリター分解を代表するキノコシロアリの菌園の現存量(土壌中に分布するキノコシロアリの菌園の現存量)を雨期と乾期とで比較し、乾期に比べると雨期では統計的有意に少なくなることを明らかにした。したがって、熱帯林の降水量の変化は微生物とシロアリによる分解量のそれぞれに逆の影響を及ぼし、微生物とシロアリが結果として相補的に熱帯林床におけるリターの迅速な消失(分解)に関係していることが示された。熱帯林におけるリター分解におけるシロアリの重要性は上述のように定量的には明らかになってきたが、空間的にどのようにシロアリがリター分解に関わっているか、ということは明らかになっていない。しかしながら、リターの分解過程を詳細に明らかにし、熱帯林の炭素循環や二酸化炭素収支などを考える上では、空間的に不均質に分布するシロアリによるリター分解パターンを解明することは必要不可欠である。そこで、メッシュサイズが異なる2種類のケージを用いてそれを比較することで、シロアリによるリター分解の強度と頻度を調査した。その結果、シロアリによるリター分解は微生物によるリター分解と比べると局所的・集中的に起こることが明らかになり、シロアリはリターの分解過程を空間的に不均質にするような効果があること明らかになった。
すべて 2010 2009 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (3件)
Proceedings of the Seventh Conference of the Pacific Rim Termite Research Group, Singopore
ページ: 89-94
ページ: 154-158
地球圏・生命圏・人間圏-持続的な生存基盤(京都大学学術出版会)
ページ: 153-184
しろあり 152
ページ: 37-39
ページ: 40-42
Proceedings of the Sixth Conference of the Pacific Rim Termite Research Group
ページ: 10-17
ページ: 1-6
BMC Research Notes 1
ページ: 118-118
http://publicationslist.org/akinori_yamada