配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
読みの習得に関して幼児の特殊表記の読みの研究,成人の科学的説明文の読解の2つの領域の研究を行った。 前者の研究に関しては,幼児が拗音表記(e.g.,きゃ)の読みを習得するのに,/Ci/+/jV/→/CjV/という混成規則を利用しているのか,機械的対連合の方略を用いているのかを検討した。この研究では,5-6歳の拗音表記習得途上の子どもに創作拗音表記(Xゅ/dju/)を提示し,対象児の8割がこれを正しく読めることが示され,習得途上の子どもが混成規則を利用していることが示唆された。また他の研究では,混成規則を明示的に教授し,6割の子どもがそれを新規の事例に適用できることが示された。これらの結果は,幼児の拗音表記の読み習得において混成規則の利用が中心的役割を果たしていることを示唆している。 後者に関しては,先行研究で確認されている「一度読んだテキストを再度他者に説明することが理解を促進するという現象」のメカニズムを探る研究を行った。大学生に統計学の「標準偏差」に関する説明文を読ませ「説明文をまとめる群」(統制群),「読んだ後に他者に説明する群」(対面群),「読んだ後にビデオに向かって説明する群」(ビデオ群)に分けた。事後テストの順位は,対面群>ビデオ群=統制群であった。説明時のプロトコル分析の結果,対面群は,手続きの意味づけ的発話,繰り返し発話の頻度がビデオ群を上回っていた。この結果から,説明によって理解が深まるという現象は,聞き手のいる状況で生じる意味づけや振り返りなどに起因することが示唆される。
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