研究課題/領域番号 |
07J06506
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大串 敦 北海道大学, スラブ研究センター, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2007 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 半大統領制 / ソ連大統領 / ロシア大統領 / ソ連共産党 / 統一ロシア / ロシア政府官僚制 / ソ連崩壊 / 共産党官僚機構 / 体制転換 |
研究概要 |
平成21年度には、論文を二本刊行(うち一本は校正作業中)したほか、国際・国内の主要学会で、二つの報告をした。刊行された論文は、ロシア大統領府の発展過程を跡付けたもので、一つは欧米の著名な研究者の論文と合わせて、林忠行教授(スラブ研究センター)との共編著(英語)として発表した。もう一つの論文は、日本語の論文集で、ロシア大統領制の発展過程を他の旧ソ連諸国との比較、類型しながら論じたものである。さらに、コロンビア大学での民族研究学会での報告では、ロシアの与党「統一ロシア」のロシア政治全体の中での役割を議論し、日本国際政治学会では、ソ連・ロシアの現在に至る政治を考察するうえで鍵となるのは、民主制か独裁かといった「統治の形態」ではなく、支配がどれだけ安定しているかという「統治の程度」である、という議論を行った。最後に、ソ連崩壊から1990年代に至るロシア政治で最重要人物であるエリツィン元大統領の重厚な伝記を書評した。 これらの研究は、ソ連統治機構の解体の分析をおこなう本研究課題から派生した研究課題である。ソ連統治機構、特にソ連共産党、の自壊は統治の安定を大幅に損ない「権力の真空」というべき状況を生み出したが、そうした状況は1990年代を通じて持続した。2000年代に入って、なぜロシアの統治が安定するようになったのか、という問題を与党の役割を軸にして実証した点は一つの大きな意義である。権威主義体制を持続させる要因として、支配政党の役割を重視する研究が増えているが、本研究もその議論を補強するものといえる。また、本研究を通じて、ロシア以外の旧ソ連諸国でも支配政党が確立しつつあり、統治の安定に貢献しているという知見も得られた。ソ連の統治機構の崩壊の研究によって、旧ソ連諸国の大統領府、政府、支配政党の相互関係の比較研究に向けての道筋が得られた。
|