(1) 研究も目的と内容:研究の目的の根本はブラウン運動で構築されている理論を対称安定過程の視点に立って徹底的に調べ、もし差異があるならば、なぜそれが生じるのかを解明することにあった。具体的にはFlowが構成できるか否か。そして出来るとすればインデックスであるαによってどのような違いがあるかを明白にすることが目的である。 (2) どのような計画であり、その達成率はどうか:上記にある3ステップを順にこなしていく計画をたてた A) 一次元の場合にFlowが構成可能かを調べる B) 可能ならば多次元への考察を、不可能ならば何がそうさせるのかを判明させる C) ジャンプの度合いを示すパラメータαによる感応度を考察する 得られている研究成果はCまで全て達成、すなわちFlowの構成は可能であり、それをパラメータαによって決定付けることが出来た。加えて申請書に記載した研究テーマをファイナンスへの応用を実行するためにウィーン工科大学のTeichmann教授と共同研究を推進させた。具体的にはウィーンで行われた学会Workshop and Mid-Term Conference on Advanced Mathematical Methods for Financeに参加した後にウィーンに短期間滞在して、集中的にTeichmann教授と議論することで展望と飛躍への可能性を得て、帰国してからも共同研究者である立命館大学の赤堀准教授と積極的に議論を重ねた。 一方、国内の活動は、上記のFlowの報告を確率論セミナーで報告したのを皮切りにして、年末のJAFEEや年始の科研費研究集会「数理ファイナンスとその周辺」においてTeichmann教授とのその共同研究の結果を報告するなど活発に行った。
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