本研究では、内臓が左右逆転したメダカ突然変異体abecobeの原因遺伝子pkd111を解析することによって、左右性形成機構の解明を目指している。 ・Pkd111とPkd2の相互作用解析(免疫共沈降) Pkd111とPkd2を培養細胞で強制発現させた上で、それぞれにつけたタグに対する抗体を使用して免疫共沈降をおこなった。その結果、Pkd111はC末側でPkd2と相互作用することがわかった。 ・Pkd2の細胞内局在の確認 クッペル胞におけるPkd2の細胞内局在を、抗Pkd2抗体を用いた免疫染色により確認した。その結果、Pkd2は繊毛上に局在していることがわかった。また、abecobeにおいてPkd2の繊毛上への局在が失われていたことから、Pkd2の繊毛上への局在にはPkd111が必要であることがわかった。 ・Pkd111の細胞内局在の確認 クッペル胞におけるPkd111の細胞内局在を、抗Pkd111抗体を用いた免疫染色により確認した。その結果、Pkd111はクッペル胞内の全ての繊毛上に局在していることがわかった。また、abecobeにおいてPkd111の繊毛上への局在が失われていたことから、抗Pkd111抗体の特異性も示された。 ・left-right dynein(LRD)の分布パターンの確認 クッペル胞におけるLRDの分布パターンを、抗LRD抗体を用いた免疫染色により確認した。その結果、クッペル胞内の全ての繊毛上に局在していることがわかった。これは、過去にマウスで報告されていた、周辺の繊毛のみに原曲しているという結果と異なる結果となった。
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