研究概要 |
研究計画で掲げた列挙アルゴリズム設計に取り組み,一定の成果を得た.昨年度我々が提案した辺制約付き辞書付き順序最大三角形分割という概念を用いることで,列挙対象となるグラフクラスの性質に依存しない一般的な枠組みの構築に成功した. また組合せ剛性理論に関する研究でも大きな成果を得ることが出来た.特に重要な成果としてTayとWhiteleyによる剛板ヒンジ構造の組合せ論的剛性特徴付けの予想の解決が挙げられる.剛板ヒンジ構造物剛性の性質は共有結合で構成される分子構造の剛性と等価である事がCrapo and Whiteleyによって証明されており,剛板ヒンジ構造の剛性特徴付けを行うことによって,分子構造の剛性特徴付けが得られる.そのためTay-Whiteleyの予想は"Molecular Conjecture"と呼ばれており,応用の観点からも非常に重要であるにもかかわらず,25年余り未解決であった.我々はこの未解決問題を肯定的に解決した. またグラフの木分割定理の一般化として,一様点要求を満たす根付き森分割が可能であるための必要十分条件を導出する事に成功した.今後この根付き森分割定理が構造物の剛性特徴付けに利用される予定である.
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