研究課題/領域番号 |
07J08440
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
橋本 照男 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 記憶 / 安定性 / 揺らぎ / 神経メカニズム / fMRI / 再生 / 再認 |
研究概要 |
前年度は、記憶の安定性の神経メカニズムを解明するため、fMRIを用いて繰り返し再認課題を行った。今年度は、再認課題ではなく手がかり再生課題、つまり単に見覚えがあるかではなく、記憶を産出する必要がある状況における想起の安定性の神経メカニズムの解明を試みた。fMRI撮像中に再生をさせる、つまり喋ってもらうということは、技術的に困難が伴うが、これを克服し、データの収集と解析、そしてその取りまとめを行った。 再生を繰り返すと、1度目のテストでは想起できなかったものが、2度目では想起されるという現象が得られた。これはhypermnesiaと呼ばれ、再現性のあることが知られており、想起を繰り返すことが後の記憶を促進することを示している。本研究は記憶の安定性に着目したので、1度目も2度目も同じように想起できたときの脳活動を検討した。その結果、1度目では左下前頭回や海馬領域など、学習と関わる部位の活動が高く、2度目には右前頭背外側部や左下頭頂部など想起や想起後のモニタリングに関わる部位での活動が見られた。これらは、同じように再生していても1度目と2度目の処理は異なっていることを示している。最初の想起では再学習的処理により記憶が強められ、その後は、想起した記憶が正しいものであるかを精査するモニタリング処理への移行があることで、安定した想起が実現していると考えられる。 記憶は常に上書きされていると考えれれているが、意図的に覚えることをしなくても、想起を繰り返すことに再学習効果があり、記憶がより安定したものになっていくことを示すことができたといえる。
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