研究課題/領域番号 |
07J08602
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
李 賀 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,948千円 (直接経費: 1,948千円)
2010年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2009年度: 348千円 (直接経費: 348千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | WTO / 自由貿易 / フェアトレード / グローバリゼーション / 企業の社会的責任 / 貿易自由化 / 貿易と労働 / 貿易と環境 / 貿易と知的財産権保護 / 公正貿易 |
研究概要 |
平成22年度は、主に博士論文の執筆に打ち込んでいました。研究内容は、次の通りです。 今現在の世界貿易体制において、公正貿易の理念が歪んだ形で運用されつつある傾向があります。貿易と労働基準をリンクすべきかどうかを巡る議論を例にすれば、途上国のチープレーバーは不公正貿易だから、世界範囲でレベル・プレイング・フィールドを構築すべきだというのは、貿易と労働のリンクを支持する理由となります。労働基準と貿易のリンクを支持するもう一つの理由は、「底辺への競争」論です。本研究は綿密な調査と様々な観点に対する分析を経て、上記の論理のいずれも成り立たない部分があるという結論になりました。したがって、貿易と労働基準をリンクして、WTOへ「社会条項」を盛り込むことによって、貿易制裁の方法で発展途上国の労働問題を解決することには限界があります。また、貿易制裁にとって代わる様々なオルタナティブアプローチについても検討をしました。例えば、現在よく議論されている労働CSRの本質、欧米諸国におけるフェアトレード運動と倫理貿易の関係も視野に入れています。フェアトレードは、美しい理念かのように見えますが、実際にフェアトレードの認証・ラベルのコスト問題、ビジネス型フェアトレードにおける労働価値の不均等性などの課題を抱えるので、やはりすべての発展途上国の貧困問題を解決する最適な策ではない。結論としては、労働問題を専門的な国際機関であるILOに帰属させるべきです。多くの実証研究の成果が表明したとおり、発展途上国の経済発展こそ途上国の労働基準を改善させる最善の策となります。したがって、WTO体制下における真の公正を追求するためには、「機会的平等」と「配分の正義」の原則を改めて徹する必要があると思われます。こういう意味で、先進国が発展途.上国に対して一層市場を開放することが非常に肝心であります。
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