研究課題/領域番号 |
07J08783
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
植物生理・分子
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山内 崇 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | シアノバクテリア / シグマ因子 / 転写 / 糖代謝 / メタボロミクス / 窒素シグナル |
研究概要 |
シアノバクテリアは、酸素発生型光合成を行う原核生物の一群である。淡水性シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC 6803(以下Synechocystis)は、マイクロアレイ、網羅的タンパク質間相互作用の解析など、ポストゲノム解析およびデータベースの整備が進んでいるモでる生物である。 これまでに我々は、Synechocystisゲノムにコードされる9つのシグマ因子の内の1つSigEが、糖異化遺伝子群の発現を正に制御することを見出している(Osanai et al., 2005)。本研究の成果としては、SigE結合タンパク質ChlHを発見した。酵母ツーハイブリッド法を用いて、SigE結合タンパク質を探索したところ、マグネシウムキラターゼHサブユニットChlHが得られた。GST-pulldown法を用いて、ChlHとSigEがマグネシウムイオン依存的に結合すること、また免疫沈降法を用いて、明条件下で結合し、暗条件下で解離することが明らかになった。またIn vitro転写再構成実験より、ChlHはSigEの転写活性を抑制することが分かった。この結果は、ChlHがSigEのアンチシグマ因子であることを示すものである。本成果は、代謝酵素がアンチシグマ因子の役割をする初めての例であり、また、酸素発生型光合成生物における初めてのアンチシグマ因子の発見でもある(Osanai et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2009)。 この他に、代謝工学への展開として、SigE過剰発現株を用いた炭素代謝改変を行った。psbAIIプロモータを利用して、SigE過剰発現株を作製した。マイクロアレイ、ノーザンブロット、ウエスタンブロット解析の結果より、SigE過剰発現株では、糖異化酵素遺伝子のmRNA量、タンパク質量が増加することがわかった。生理学的表現型としては、グルコース感受性になることおよび暗条件下で生存率が低下することが分かった。SigE過剰発現株では、炭素の貯蔵源であるグリコーゲン量が減少していた。さらにCE-MSを用いたメタボローム解析では、TCA回路の代謝産物量が大きく変動していることが分かった。このようにすべてのデータは、SigE過剰発現株では糖異化が促進されていた。このよりに一次代謝をコントロールすることにより、光合成生物の代謝工学という応用研究へ展開することが期待される。
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