研究課題
特別研究員奨励費
申請した研究は、樹液流計測をヒノキ人工林に適用し、森林管理が水資源量に与える影響を評価するものである。今年度の大きな成果として、樹液流計測を用いた森林蒸発散量の評価方法を確立したこと、樹液流計測をヒノキ人工林に適用し長期計測を実施したこと、ヒノキ人工林の土壌の性質を明らかにしたこと、の3点があげられる。第1に、樹液流計測を用いて森林の蒸発散を評価する際に、(1)同手法では遮断蒸発が考慮できない、(2)樹冠で生じる蒸散に対して樹液流は時間遅れを持つ、(3)何本の木で樹液流を計測すればよいかが不明である、という3つの課題が存在していた。これらの課題を克服し、その成果を、Journal of Hydrology誌、Agricultural and Forest Meteorology誌に論文として発表し、またTree Physiology誌に論文を投稿した。第2に、以上の成果を踏まえ、九州大学農学部附属演習林内の御手洗水試験地の斜面の上下部に2つの試験区を設け、樹液流計測を1年間にわたり実施した。これにより、ヒノキ人工林流域における林分蒸散の時間空間変動特性を明らかにした.この成果は2009年3月に日本森林学会において発表予定である.第3に、御手洗水試験流域における土壌の理化学性、土層厚、根量分布、保水性と透水性を計測することにより、本試験地の土壌の性質を明らかにした。この成果を九州大学演習林報告に論文として発表した。これらの成果に加えて、補助的な研究も行い、Ecohydrology誌、Biogeochemistry誌、Forest Ecology and Management誌、水文・水資源学会誌に論文を発表した。これらの論文では、熱帯から温帯にまたがる様々な森林生態系の水循環・炭素循環の時間・空間変動特性を明らかにすることに成功した。
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Ecohydrology (印刷中)
日本森林学会誌 89
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Biogeochemistry 90
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http://www.forest.kyushu-u.ac.jp/~otsuki/Ecohydrology/lab-pap-ja.html