研究課題/領域番号 |
07J09306
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
|
研究機関 | 九州大学 (2008) 京都大学 (2007) |
研究代表者 |
柴野 佑紀 九州大学, 未来化学創造センター, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2007 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 有機太陽電池 / ペリレンジイミド / フラーレン / 有機半導体 / 光電変換 / 有機薄膜トランジスター / 電子移動 / エネルギー移動 / 色素増感太陽電池 / オリゴシラン / ポルフィリン / 立体配座依存性 |
研究概要 |
近年、太陽エネルギーの有効活用の観点から、有機薄膜太陽電池が安価かつフレキシブルな次世代太陽電池の候補の一つとして注目されている。その中で、ペリレンジイミド(PDI)は優れた光捕集能を有し、安定なn型半導体として幅広く用いられているが、電子供与性が低いためにp型半導体として用いることは一般に困難である。そこで本研究では、電子供与性基を導入したPDIを合成し、それをp型半導体として用いた有機薄膜太陽電池の作製を行った。 p型半導体として、ピロリジン基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾール基の電子供与基を有するPDIを合成した。いずれの化合物も溶液中で600から750nm付近および450nm付近に強い吸収を示し、可視部の光を効率よく捕集することがわかった。これらの化合物をITO表面にスピンコート法で製膜し、さらにn型半導体としてフラーレン、励起子拡散阻止層としてBCP、陰極としてアルミニウムを蒸着したデバイスを作製した。電子供与基としてピロリジン基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基を有するPDIを用いた素子は、PDIの吸収帯に相当する波長で光電変換能を示し、PDIがフラーレンに対してドナーとして働いていることがわかった。一方、カルバゾール基を置換基に有するPDIは光電変換能を示さず、置換基の電子供与性によってPDIの電子ドナー性を制御できることがわかった。しかしながら、光電変換能を示した素子の変換効率は、最大で0.3%と比較的低い値であり、外部量子収率も最大で12%程度の値であった。電子ドナー性PDIを用いた有機薄膜トランジスタのホール移動度は10^<-7>cm^2/Vs程度であり、p型半導体としてよく用いられているフタロシアニン系色素より4桁ほど小さい値であった。このことから、PDIを用いた素子の変換効率は、PDIの低いホール輸送能によって比較的低い値に留まったと考えられ、今後、移動度の向上を目指した分子設計を検討する。
|