研究概要 |
建築室内環境を最適化するための実用的な計算プログラムの開発 空間の3次元空間分を考慮する必要がある解析には,換気回路網解析といったマクロモデルの適応性が低く,3次元CFD解析を用いたミクロな解析が必要となる。しかしながら,マクロモデルと比較し,計算コストは非常に高く,建物内環境の年間性能評価や設計における最適解探索プロセス等の多数ケースの計算が必要とされる検討において,計算コストの大きな3次元CFD解析をそのまま用いることは現実的ではない。 本研究では,この課題を解決する計算プログラムの基盤技術を開発した。このシミュレーション技術はまず流れ場とその流れ場に依存する熱・物質の移流・拡散現象をCED解析や実験により指標化し,速度場を除いて,他の線形に取り扱える要素は,この指標を用いて解析する。ただし,この指標はマクロモデルに組み込む事を想定し,マクロモデルにおける節点間の空気輸送性状を示す設計定数を修正し,マクロモデルにおける空間間の気流シミュレーションの精度を上げると同時に,空調制御時の作動応答や緊急時における比較的短い時間間隔の時系列変動の評価を必要とする解析に対応したものとなる。 この基盤技術を応用したシミュレーション技術は,室内の温度分布を考慮して局所換気による熱負荷削減の効果を見込む空調設計や,風の持つ運動エネルギーにより換気量を増進する通風設計等,完全混合モデルでは解析が困難な高度な環境設計における温熱環境快適性やエネルギー消費量削減効果を,従来の回路網解析と同等の解析コストで解析することを可能とするものとなる。
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