研究課題
特別研究員奨励費
前年度までで、リーリンとアルカリフォスファターゼとの融合蛋白質により、生後小脳では内顆粒細胞がリーリンを受容し、プルキンエ細胞は受容しないことが分かった。これまでプルキンエ細胞がリーリン受容細胞だと予想されていたため、プルキンエ細胞のリーリン受容能を時間を追って解析すると、誕生直後にはリーリン受容能があるが、細胞表面への移動と共に受容能が低下し、出生直前に一列に整列する時点では受容能が無いことが分かった。一方リーリン欠損マウスでは、生後でもプルキンエ細胞はリーリン受容能を有していた。つまり、プルキンエ細胞のリーリン受容能の消失は、リーリンにより受容体がダウンレギュレーションされることが原因だと考えられた。他方、胎生期の顆粒細胞はリーリン受容能を持たないことも明らかとなり、生後小脳の内顆粒細胞が有するリーリン受容能は、細胞移動よりもむしろ神経ネットワーク形成に関与する可能性が示唆された(投稿中)。また、前年度に、小脳にはリガンド結合ドメインの異なる複数のApoER2アイソフォームがあり、リーリンへの結合性に違いがあることを明らかにした。そこで、その1つであるLA12378-ApoER2のみを認識する抗体を作製した。この抗体による免疫染色から、生後小脳ではLA12378-ApoER2が内顆粒層にのみ発現することが明らかとなった(Neurosci.Res.,2009)。更に、前年度に明らかにした、ApoER2依存的なリーリンN末端断片の再分泌についても追究を行ない、この現象がRab11依存的な輸送経路によることが明らかになった(FEBS Lett.,in press)。
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Neuroscience Research 63
ページ: 251-258
The Journal of Biological Chemistry 282
ページ: 20544-20552
FEBS Letters (in press)
http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/research_course/res_course14.html