研究課題/領域番号 |
07J12947
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
土木材料・力学一般
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研究機関 | 京都大学 (2009) お茶の水女子大学 (2007-2008) |
研究代表者 |
柳澤 実穂 京都大学, 理学研究科, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2009年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2008年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 非平衡物理学 / フフトマター物理学 / 生物物理学 / モデル生体膜 / ベシクル / 膜変形 / ソフトマター物理学 / 生理物理学 / 国際研究者交流 / フランス |
研究概要 |
我々は、生体膜の示す膜変形現象を物理的な観点から明らかにするために、脂質のみからなるモデル生体膜ベシクル(以下、ベシクル)を用いた研究を行った。均一なベシクルは、面積と体積の比率を変化させることで、多様な形状を示す。一方、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、コレステロールからなる3成分ベシクルは、転移点以下で液体秩序相と液体無秩序相に2相分離し、生体膜におけるラフトに似たドメインを形成する。そこで、様々な形状のべシクルにおける相分離現象を顕微鏡観察した。その結果、相分離を境に均一系とは全く異なる膜変形が観察された。特に筒状ベシクルでは、相分離と共にベシクルが波打ち、周期的ドメインパターンが現れることを見出した。またドメイン形状は、液体秩序相の面積分率に依存して、円形状からストライプ形状へと転移した。これは最も支配的となるドメイン界面をなるべく小さくするために起こったと、自由エネルギー解析から説明できた。またドメインの周期性は、面積と体積の保存に由来する幾何学的束縛だけでなく、相分離のキネティクすも影響していることを報告した。さらに、脂質のみからなる膜の物性から、より実際の生体膜に近づけた、膜蛋白質や糖鎖モデルとしての高分子(PEG:Polyethylene glycol)を添加した膜系での研究を展開した。その結果、高分子は脂質間の相分離を妨げ、生体膜に見られるラフトに似た小さなドメインが安定して現れることを見出した。以上の成果は、生体膜を物理学で記述するという目標に一歩近づいたといえる。
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