研究概要 |
本年は,日本の労働市場の質という問題に対して,(1)労働者の能力を向上させる政策の有効性の検討,(2)労働市場で決定される賃金の決定要因に対する考察,(3)地域間の移動と賃金や失業率の決定,(4)その他関連する分野の4つに絞って研究してきた。以上4つの研究後述するように相互に関連し,日本の労働市場がこれまで企業内の人材移動・調整などのいわば内部労働市場が主体であったものが,外部労働市場へ重要性がシフトしているとしばしば指摘されるが、その移行過程で問題となる点について考察・政策提言するという点で意義のある研究である。(1)については,1998年より施行された教育訓練給付制度の効果,問題点と意義について研究し,"Does the Education and Training Grants System raise an individual's productivity? -Evidence from Japanese Panel Data,"という論文にまとめ,数回の研究報告を経たのち,論文を修正し,査読雑誌に投稿した。(2)については,賃金上昇が企業と労働者の相性の良さで決まるかどうかによって検証した「日本のパネルデータを利用した賃金プロファイルの実証分析」を執筆し,これから研究報告を行い修正する予定である。(3)については,都道府県間の移動についてのデータを国勢調査から収集し,分析できるような形にした。(4)については,日本の労働市場が長時間労働が強いる点に着目し,長時間労働が与える悪影響といて少子化の問題について分析した。論文にいてまとめ日本経済学会や数回のワークショップにて報告し,今後は修正して査読雑誌に投稿する予定である。
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