研究課題
特別研究員奨励費
台風や自動車まわりの流れなど、我々の身の周りに見られる流動現象の多くは乱れた流れ、乱流である。この乱流の理解や予測・制御には、従来の理論や実験に加えて、近年目覚ましい発展を遂げた計算科学的手法によって得られる知見が重要になっている。しかし、社会的・工学的に重要な、乱れの非常に強い乱流には大小様々なスケールの渦が混在し莫大な自由度をもつため、計算科学的手法の障壁となっている。従って、乱流の普遍的な性質を明らかにし、それを応用した情報縮約手法を開発することが重要である。研究目的である「秩序渦シミュレーション(Coherent Vortex Simulation;CVS)の検証」として、三次元一様等方性減衰乱流のCVSを行った。その結果、従来の考えを用いたCVSは、直接数値計算(Direct Numerical Simulation;DNS)(情報縮約を行わない場合の計算手法)の格子点数の30%程度で、乱流の統計をよく再現することが明らかになった。さらに、新しく開発したCVSは、DNSの15%程度の自由度であっても、乱流DNSの高次の統計までよく再現できることがわかった。この結果は、乱流の適合格子シミュレーションの視点から有用であると考えられる。また、研究計画にある「乱流の小スケールの普遍性の解明」として、i)小スケールの間欠性の定量化及びガウス場との比較、ii)エネルギー輸送のスケール局所性の解析を行った。i)では、乱流の各スケールにおけるヘリシティを新しく導入し、各スケールにおける幾何学的統計を調べた。その結果、乱流にはスケール依存性があるのに対しガウス場にはスケール依存性が見られないことがわかった。ii)では各スケールにおいて、エネルギー輸送のスケール局所性は慣性小領域では一定で小スケールほど局所性が高くなることがわかった。
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Proceedings of 12th EUROMECH European Turbulence Conference (ETC12) (印刷中)
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http://www.fluid.cse.nagoya-u.ac.jp/~okamoto/gyouseki/