研究課題
特別研究員奨励費
心筋壁運動異常の評価には、超音波を用いたものに組織ドプラ法や心筋ストレインレート法などが知られているが、前者は胸壁に対する動きの検出であり、後者は超音波ビーム方向のみの1次元的な収縮の検出のみであるため、正確な局所収縮の把握は困難である。また、MRIを用いたTagging法は、3次元的な収縮を画像化できるが、空間分解能が低い、金属の近くではアーチファクトが出る、装置が大掛かりで簡便ではないなどの問題がある。これに対し、本年度の研究は以下の点に特色をもつ独創的かつ実用的な手法を開発した。1)超音波により3D変位ベクトルを計測することで、局所の収縮率の分布を高い空間分解能で画像化できた。2)ひずみテンソルの算出に動的格子補間法を用いて高精度と高コントラストの局所収縮能イメージが得られた。3)頑健で高SN比での広範囲の収縮率を計測できるために、心筋の周期的な運動の特性によって、マルチフレームイメージから筋収縮能の測定方法を開発した。4)イメージングシステムの性能を最高にするために、プローブのサイズ、周波数、装着方法など最適な条件について検討した。そこで、本研究では、複雑な変形がある場合でも、位相差検出精度を維持し、高精度な収縮能パラメータ分布像を得ることが可能なものとして、適応動的格子補間法を提案し、それを位相勾配法に組み合わせた実用的な3D心筋収縮能イメージング法を開発した。これまで、理論的な解析、さらに実際の測定系と梗塞部位を含む3次元的な心筋の動きや雑音特性を忠実に再現したシミュレーション解析により、局所収縮能のイメージングとしての性能評価を行った。提案手法では、精度とSN比が向上して明瞭に描出されており、実際の複雑な動きや雑音の下でも頑健という高い実用性が示された。
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IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems 127(C)
ページ: 1732-1742